第7回 似たもの"同志"

オーディオは音楽を再生する装置である。
ある人は趣味として、またある人は人生を懸けて接する。
そこには正解やゴールは無く、自らの足でたどり着くしかない。
共に歩むうち、オーディオにはパーソナルな部分が反映されてくる。
言うなれば、鏡に映るもう一人の自分であると言えるだろう。
そんな似たもの同士、これからの長い道のりを歩んでいこう。
時に立ち止まっても、志は同じなのだから…

第6回 拝啓 "パラゴン" せんせい

パラゴンとは、JBLのスピーカーD44000の事である。
この巨大で不思議なデザインに、東宝映画の地底怪獣のような名前は
TANNOY,JBLを覚えたての頃の少年の心に、強いインパクトを残こした。

パラゴンに強く惹かれた理由は、"ステレオをデザインで明示した"という事に尽きる。
誕生した1957年はステレオ黎明期、民間でのステレオ再生は馴染みが薄い時代だろう。
その時期に、ステレオ時代の幕開けを告げるような先進的な設計と2chなのに1個体なデザイン、
ミッドセンチュリー家具のような普遍的な風貌には、高い技術と多くの情熱が注がれた事だろう。
パラゴンは、1983年に"製作出来る職人がいなくなった"という理由で生産が完了した。
躯体が朽ち果てても、このコンセプトは永遠に輝きを放つ事だろう。

第5回 オーディオで"時間跳躍"は可能か?

レコードで音楽再生をした時、何故か懐かしさを感じる。
同じタイトルをCDで再生しても、その感覚は湧き起こらない。
この感覚はアナログとデジタルだから、という問題ではないと思う。
CDで育った世代には、CDに懐かしさを感じるからだ。
きっと製作された年代の空気(文化・想い)が情報の中に入っているに違いない。
心のアンテナを立て、感情の周波数を合せれば、時代の"空気"が受信できる。
この気持ちが、一種の"時間跳躍"を体験したことになるのだろう。
時代は未来に進むけど、僕たちは過去の蓄積にもアクセスできるのだから…

第4回 世紀を越えるデザインとは?

世紀を越えた名機には、3つのデザイン要素があると思う。
それは、"意匠" "音質" "哲学" の3要素の事を指す。
オーディオ(工業製品)には、量産する事を前提に設計と製造をする必要がある。
極希にこの制約を無視した物が誕生するが、基本的にはこの中に収まる。
3要素は、1つでも前に出過ぎれば、そのバランスを崩してしまい
あっという間に時代の波に呑まれ、やがて人々から忘れ去られてしまう。
21世紀に入り、技術の進化は"意匠"・"音質"の面で大きく飛躍してきた。
これからは、"哲学"も備えた製品が求められる時代になるだろう。
この時代に多くの名機が誕生する事を願いたい。

第3回 レコード派?デジタル派?

接客で"レコードとデジタル、どっちがいいの?"と聞かれる事が多い。
この質問は"パン"と"ごはん"の優劣を決めるくらい、意味のない話である。
趣味性を深めるならレコード、音源の入手が手軽で手間を掛けたくない人はデジタルを勧める。
音質などは使い手が納得できればいいので、その判断は他人に任せるものではないと思う。
つまり"絶対性能"を追うのではなく、"納得性能"を見つけ出す考え方である。
近年は、回転駆動系を必要としない”パスタ”じゃなくて、SSDも新たな媒体として加わった。
あれこれと食べてみて、自分の生活リズムに合うものを探していけば良いと思う。
答えを出すには、あまりに長い道のりなのだから…

第2回 "進化"と"深化"のはなし

オーディオは誕生から絶え間なく"進化"してきた。
80年代に基本的な部分は、ひとつの到達点を迎えた。
基本的な部分とは、車でいうところの"走る、曲がる、止まる"である。
90年代からのオーディオは"進化"ではなく"深化"を遂げる事になる。
デジタル規格は次々と更新され、デバイスは時代と共に形を変えていった。
しかし、時間は進んでも相変わらずメディア媒体の規格・概念は大きく変わらない。
これは"進化"が止まったのではなく、"深化"が始まったのだと思う。
仮に"深化"を、"刷新"でなく"更新"と定義した場合、オーディオはどこまで深く潜るのだろう?
一緒に潜るにも、体力・知力・財力に限界はあるのだから…

第1回 オーディオを”読む”

昔からオーディオは"聴く"ものではなく"読む"ものだと思っている。
なぜか?と問われれば、読書とアプローチが似ているからだ。
限られた情報の中で情景をイメージし、その世界観に思いを馳せる。
その解釈は受け手によって無数に存在し、作者の想定を超える時がある。
この"解釈の余地"こそが、趣味としての最大の楽しみではないだろうか。
蓄積された知識と経験が、過去に触れた作品の違った側面を見せてくれる。
先人の残した英知は、現代の新たな解釈を受け、次の世代に引き継がれる。
お気に入りを"聴き"ながら、その背景を"読んで"みてはいかがだろうか。
答えは一つではないのだから…

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